決勝レポ(公式ホームページコピペ)

先週の段階では雨に見舞われるのではないかという予報が出されていた4月1日(日)。 だが、昨夜遅くから降り始めた雨は朝までに上がり、フォーミュラ・ニッポン開幕戦は初夏を思わせるような晴天に恵まれた。 フォーメーションスタート時には若干雲が出たものの、気温は23℃、路面温度27℃。 昨日の冷え込んだ天気、そして朝のフリー走行セミウェット時とも路面のコンディションは大きく変わる。 そのため、決勝前のウォームアップでは、各車ともに、 レースに向けて最終的にマシンのセットアップをアジャストし、ダミーグリッドへと向かった。

 フォーメーションラップがスタートしたのは、午後2時25分。 ここでルーキーの佐々木孝太(RECKLESS CERUMO)がエンジンストールしたものの、 すぐ再始動することに成功し、隊列に加わる。そして、22台のマシンが正規グリッドに整列。 5連のレッドシグナル点灯から、ブラックアウトとともに一斉にスタートが切られた。 ここでまずまずのスタートを切って、トップを死守したのはポールポジションブノワ・トレルイエ(mobilecast IMPUL)。 松田次生(mobilecast IMPUL)もそれに続く。その後方から好スタートを決めたのは、 予選6番手の本山哲(Arabian Oasis IMPUL)と、予選5番手のアンドレ・ロッテラー(DHG TOM'S)。 ロッテラーは1コーナーで、予選3番手のJ.P.デ・オリベイラと並びかけるが、何とかオリベイラがポジションをキープ。 本山がそれに続く。しかし、オープニングラップのコントロールライン手前あたりで、ロッテラーが突如スローダウン。 次々に後方のマシンにオーバーテイクされる。これはスタートの時に、クラッチトラブルを起こしてしまったためで、 ロッテラーは2周目の2コーナー立ち上がりでマシンを止めている。

 一方、久々のスタートを上手く決められなかったのは、 ミハエル・クルム(Arabian Oasis IMPUL)。路面が思った以上にグリップしたため、エンジンストールしかけたというクルムは、 クラッチをもう一度切って再度つないだが、この時ホイールスピンを起こして、本山やロッテラーの先行を許した。 その先のコカ・コーラコーナーでは、クルムをかわそうとした予選7番手スタートのロニー・クインタレッリ(INGING)がブレーキロックし、 ハーフスピン。クインタレッリは、ランオフエリアに飛び出してしまい、大きく後退した。 一方のクルムは、オープニングラップにロイック・デュバル(PIAA NAKAJIMA)とビヨン・ビルドハイム(DoCoMo DANDELION)の先行も許し、 8番手でコントロールラインを通過している。後方集団では、 2周目の13コーナーでアウトから平中克幸(SG 5ZIGEN)をかわそうとした立川祐路(RECKLESS CERUMO)の右フロントと、 平中の左リヤが接触。平中はその衝撃で左回りにスピンし、コースアウト。エンジンがストップしたため、 ここでリタイアしている。対する立川は、フロントノーズを飛ばしてしまい、緊急ピットインを余儀なくされた。

 序盤のオーダーは、トップがトレルイエ、2番手は松田、3番手はオリベイラ。 さらに本山、デュバル、ビルドハイム、クルムとなっている。この中から抜け出したのはトップの3台。 この3台は、4番手以降のマシンに対して毎周0.5〜1秒ほど速いペースで周回を重ね、みるみるギャップを築いていった。 4番手集団は本山を先頭に、デュバル、ビルドハイム、クルム。しかし、この中から本山が脱落する。 スタート直後に4速ギヤの歯車が欠けてしまったという本山は、その影響でラップタイムが伸びなかったのだが、 ミッションオイルが漏れ出してマシンから煙が立ち上り始めた。そのため、15周を終えたところでピットイン。 そのままガレージにマシンを入れ、リタイアとなった。
 この頃から白熱したのは、2番手争い。松田とオリベイラの差は詰まったり広がったりを繰り返していたが、 松田は防戦一方。その間にトップのトレルイエは、ジワジワとギャップを広げていった。結局、この攻防はレース後半まで続くことになる。

 65周のレースが3分の1を過ぎたあたりからは、ルーティンのピットワークを行なうドライバーが出始める。 今回のレースでは、内規により、燃料搭載量規制と1回のピットインの両方が義務付けられていたためだ。 まず20周を終えたところで、真っ先にピットに入ったのは片岡龍也(Team LeMans)。 その2周後にチームメイトの高木虎之介(Team LeMans)もピットイン。 しかし、これはルーティンではなく、ブレーキトラブルのためだった。以降、24周を終えて荒聖治(DHG TOM'S)、 25周を終えて小暮卓史(PIAA NAKAJIMA)、28周を終えて柳田真孝(CARCHS KONDO)らがピットワークを終え、 コースに戻っている。しかし、トップ集団はなかなか動きを見せなかった。

 その後、レースが残り約3分の1となった41周目に、2番手争いに異変が起こる。 ダンロップコーナーへのブレーキングで松田がタイヤを4輪ともロックさせてしまい、 ついにオリベイラが2番手に浮上したのだ。しかし、ここでmobilecast IMPULは、素早い動きを見せる。 41周を終えたところで、まずトレルイエをピットに入れると、その翌周には松田もピットに呼び戻し、 いずれも素早い作業でコースへと送り出した。対するオリベイラは、依然ラップタイムが良かったということで、 さらに3周走り続け、45周を終えたところでピットインを行なった。だが、ピットロード出口に差し掛かったあたりで、 トレルイエと松田が先行。再び3番手に後退している。トップのトレルイエは、 この時点で2番手の松田に対して約6秒というマージンを持っていたため、 残りはプッシュせずに後ろとの差を見ながらのレースとなった。一方、2番手の松田に対しては、 その後もオリベイラが肉薄。ピットアウトした段階で4秒ほどあった差をどんどん削り取っていく。 その差は、残り8周となった時点で、1秒まで縮まってきた。しかし、この頃からオリベイラのマシンのクラッチが滑り始める。 その状況が次第に悪化し、残り5周を切ったところでオリベイラは急激にペースダウン。あとは最後までマシンを運ぶしかなかった。

 その結果、完璧なレース運びでポール・トゥ・ウィンを飾ったのは、ディフェンディング・チャンピオンのトレルイエ。 最後まで逃げ切った松田が2位に入り、mobilecast IMPULが貫禄の1-2フィニッシュ。オリベイラが何とか3位でコントロールラインを切った。 それに続いたのは、デュバル、ビルドハイム。さらに、スタートで大きく出遅れたクインタレッリが、 終盤ミッショントラブルを抱えたクルムをかわして、6位でコントロールラインをくぐっている。そして、クルム、片岡と続いた。
 ところが、レース後の最車検で、オリベイラのマシンのスキッドブロックが規定より薄くなってしまっていたことが判明。 今日のレースで最も見せ場を作ったオリベイラは失格となってしまう。その結果、4位以下のドライバーの順位がひとつずつ繰り上がり、 デュバルが3位。以下、ビルドハイム、クインタレッリ、クルム、片岡、小暮までが入賞という結果になった。

 2週間後には鈴鹿サーキットで第2戦が開催されるフォーミュラ・ニッポン。次回もIMPUL勢が圧倒的な強さを見せるのか。 はたまた、テストで好調だったデュバルが昨年に引き続き活躍を見せるのか。充分なパフォーマンスを見せながら、 初表彰台が泡と消えたオリベイラが雪辱を果たせるのかどうかも含めて、大きな注目を集めることだろう。